会社設立の種類と選び方|株式会社・合同会社・一般社団法人の特徴と向いている業種

「会社を作りたいけれど、種類が多すぎてどれを選べばいいかわからない」
会社・法人には株式会社、合同会社、合名会社、合資会社、さらに一般社団法人やNPO法人まで、さまざまな種類があります。それぞれ費用・責任範囲・税金の扱いが異なるため、事業内容に合わない種類を選ぶと後悔につながります。結論からいえば、営利事業なら実質的に株式会社か合同会社の2択、利益の分配を目的としない事業なら一般社団法人が候補になります(2026年現在)。
本記事では、主要な法人の種類ごとの特徴・費用・向いている業種と、失敗しない選び方の判断基準を税理士がわかりやすく解説します。
📌 この記事のポイント
- ・会社法上の会社は4種類あるが、実際に選ばれるのはほぼ株式会社と合同会社
- ・設立費用の目安は株式会社約20万〜25万円・合同会社約7万〜10万円・一般社団法人約11万円
- ・一般社団法人は利益(剰余金)を分配できないが、非営利型なら税制上有利になる場合がある
- ・合名会社・合資会社は無限責任のため、新規設立ではほとんど選ばれない
- ・「誰に利益を分けるか」「信用力」「費用」の3つの質問で種類を絞り込める
会社・法人の種類は何がある?全体像を一覧表で確認
会社法で定められた「会社」は、株式会社・合同会社・合名会社・合資会社の4種類です。
これに加えて、営利を目的としない法人として一般社団法人・一般財団法人・NPO法人などがあります。主要な法人の違いを一覧表にまとめました。
| 種類 | 責任範囲 | 設立費用の目安 | 利益の分配 |
|---|---|---|---|
| 株式会社 | 有限責任 | 約20万〜25万円 | できる(出資比率に応じる) |
| 合同会社 | 有限責任 | 約7万〜10万円 | できる(定款で自由に設定可) |
| 合名会社・合資会社 | 無限責任(合資は一部有限) | 約7万〜10万円 | できる |
| 一般社団法人 | 有限責任 | 約11万円 | できない |
*スライドすることで表の全てが読めます。
設立費用を比較すると、株式会社は約20万〜25万円、合同会社は約7万〜10万円、一般社団法人は約11万円程度が目安です。
ここから、実際に選ばれることの多い3つの法人を順に見ていきましょう。
株式会社の特徴と向いている業種
株式会社は、出資者(株主)と経営者が分離した、もっとも知名度の高い会社形態です。
株式の発行による資金調達ができ、将来の上場(IPO)も目指せます。設立には定款認証(1万5,000円〜5万円)と登録免許税(最低15万円)が必要で、費用は4種類の中でもっとも高くなります。
株式会社が向いているのは次のような業種・ケースです。
- 建設業・人材派遣業など許認可や与信が重視される業種:対外的な信用力が受注に直結します
- IT・スタートアップ:ベンチャーキャピタルからの出資や上場を視野に入れるなら株式会社一択です
- 従業員を積極採用して拡大する事業:採用市場での知名度・安心感で有利です
合同会社の特徴と向いている業種
合同会社は2006年に生まれた形態で、出資者自身が経営する「所有と経営の一致」が特徴です。
定款認証が不要で登録免許税も最低6万円と安く、決算公告や役員任期もないため、設立・維持コストを大きく抑えられます。税金の扱いは株式会社と同じです。
合同会社が向いているのは次のような業種・ケースです。
- 個人事業主の法人化:飲食店・美容室・サロン・フリーランスなど、屋号やサービス名で商売する事業
- 資産管理会社・不動産賃貸業:対外的な信用力が問われにくく、低コストで運営できます
- BtoC事業・ネットショップ:会社形態が売上に影響しにくい業種です
株式会社との詳しい比較は、費用・信用・税金の観点で別記事にまとめていますので、2択で迷っている方はそちらも参考にしてください。
一般社団法人の特徴と向いている業種
一般社団法人は、営利(利益の分配)を目的としない法人です。
設立には社員2人以上が必要で、定款認証(約5万円)と登録免許税6万円で設立でき、定款の収入印紙代はかかりません。
重要な注意点として、一般社団法人は利益(剰余金)を社員に分配できません。
事業で利益を出すこと自体は問題ありませんが、株式会社の配当のように関係者へ利益を還元することはできず、利益は法人の活動に使う必要があります。役員報酬や給与として支払うことは可能です。
非営利型なら税制上のメリットも
一般社団法人には「非営利型」と「普通型(非営利型以外)」があります。
非営利型の要件(剰余金の分配を行わない定款の定め、理事の親族制限など)を満たすと、法人税は収益事業から生じた所得のみに課税され、会費や寄付金収入は原則非課税になります。普通型はすべての所得が課税対象で、税金面は株式会社とほぼ同じです。
一般社団法人が向いているのは次のような業種・ケースです。
- 業界団体・協会・学会:会費収入で運営し、資格認定や検定事業を行う団体
- スクール・カルチャー教室・スポーツクラブ:公益性・中立性のイメージが信頼につながる事業
- 地域活動・まちづくり・社会貢献事業:NPO法人より設立が簡単で、活動の自由度も高いです
合名会社・合資会社はなぜ選ばれないのか
合名会社は出資者全員が、合資会社は一部の出資者が「無限責任」を負う形態です。
会社の債務について出資額を超えて個人財産まで責任が及ぶため、有限責任の株式会社・合同会社と比べてリスクが大きく、新規設立で選ばれることはほとんどありません。特別な事情がない限り、候補から外して問題ないでしょう。
失敗しない選び方|3つの質問で絞り込む
種類選びで迷ったら、次の3つの質問に順番に答えてみてください。
- 利益を出資者に分配したいか?:分配しない(会費や寄付で運営する)なら一般社団法人、分配するなら株式会社か合同会社です
- 外部からの出資や上場を目指すか?:目指すなら株式会社です。合同会社は株式を発行できません
- 対外的な信用力と設立コスト、どちらを優先するか?:信用力なら株式会社(約20万〜25万円)、コストなら合同会社(約7万〜10万円)です
なお、合同会社から株式会社への組織変更は後からでも可能です(1か月以上の期間と約10万円程度の費用がかかります)。
一方、株式会社・合同会社から一般社団法人への変更はできないため、非営利での運営を考えている方は最初の選択が特に重要です。
まとめ|種類選びは「利益の行き先」から考える
会社設立の種類は、営利事業なら株式会社か合同会社、利益を分配しない事業なら一般社団法人が基本の選択肢です。
信用力・出資・上場なら株式会社、コストと自由度なら合同会社、会費運営や公益的な活動なら一般社団法人と、事業の性質によって最適解は変わります。
種類の選択は、設立費用だけでなく税金・社会保険・将来の事業展開にも影響する重要な意思決定です。
迷ったら設立前に税理士へ相談し、事業計画に合った形態を選びましょう。
会社設立のご相談は、ヤマザキ税理士事務所へ
春日部市、越谷市、さいたま市を中心に、会社設立・創業融資・節税対策をサポートする税理士事務所。初めての方も安心してご相談いただけます。初回相談無料です。
よくある質問(FAQ)
Q. いちばん安く設立できる法人の種類は何ですか?
合同会社です。法定費用は約7万〜10万円で、電子定款と特定創業支援等事業の半額制度を併用すれば、法定費用を3万円程度まで抑えられる場合もあります。
Q. 一般社団法人は利益を出してもよいのですか?
問題ありません。事業で利益を出すこと自体は自由です。ただし利益(剰余金)を社員に分配することはできず、法人の活動資金に充てる必要があります。役員報酬や給与の支払いは可能です。
Q. 一般社団法人の設立費用はいくらですか?
定款認証手数料約5万円+登録免許税6万円で、合計約11万円程度が目安です。定款の収入印紙代はかかりません。設立には社員2人以上が必要です。
Q. 1人で設立できる法人の種類はどれですか?
株式会社と合同会社は1人で設立できます。一般社団法人は社員2人以上、合資会社は無限責任社員と有限責任社員それぞれ1人以上が必要です。
Q. 一般社団法人とNPO法人はどう違いますか?
NPO法人は所轄庁の認証が必要で活動分野も限定され、設立まで数か月かかります。一般社団法人は登記のみで設立でき、事業内容の制限もありません。スピードと自由度なら一般社団法人が有利です。
Q. 合名会社や合資会社を選んではいけませんか?
禁止ではありませんが、出資者が個人財産まで責任を負う無限責任のリスクがあるため、新規設立ではおすすめしません。有限責任の株式会社・合同会社で目的は十分果たせます。
Q. 法人の種類は後から変更できますか?
合同会社と株式会社の間は組織変更で移行できます(1か月以上・約10万円程度)。ただし株式会社・合同会社から一般社団法人への変更はできないため、非営利運営を考えている場合は最初の選択が重要です。
Q. どの種類を選ぶか、誰に相談すればよいですか?
税金・社会保険・資本金設計まで含めて判断するなら税理士への相談がおすすめです。当事務所では事業計画をお伺いした上で、最適な法人形態のシミュレーションを無料相談で行っています。
監修者
税理士 山﨑 健司(ヤマザキ税理士事務所)
春日部市、越谷市、さいたま市を中心に、会社設立・創業融資・節税対策をサポートする税理士事務所。中小企業・個人事業主の起業支援に豊富な経験を持つ。




