相続の専門家は誰に頼む?士業別の得意分野と選び方

◆◇フェーズ別に見るプロフェッショナル(士業)の選び方◇◆

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相続手続きは複雑で、法務、税務、財産整理といった多岐にわたる知識が必要です。
すべての問題を一人で解決するのは難しいため、多くの方が専門家(士業)の力を借ります。しかし、弁護士、税理士、司法書士など、様々な専門家がいるため、「誰に何を頼めばいいのか」と迷ってしまう方も多いでしょう。

ここでは、相続に関わる主要な士業の得意分野と役割、そして選び方を解説します。

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1. 弁護士:争いを解決するプロ

弁護士は、唯一、法律問題全般を取り扱える専門家であり、特に相続人の間で争い(トラブル)が発生している場合に頼るべき存在です。

〇分野:トラブル解決、法務全般
〇得意な業務:遺産分割調停・審判、遺留分侵害額請求、相続人の代理交渉、複雑な遺言書の作成指導、相続財産調査

【依頼すべきケース】
遺産分割の話し合いがまとまらず、裁判所の手続きが必要な場合。
他の相続人から不当な要求を受けている、または交渉を任せたい場合。

2. 税理士:税金対策と申告のプロ

税理士は、相続税に関する計算、申告、そして節税対策のエキスパートです。
相続税の申告は、財産の評価方法によって税額が大きく変わるため、専門的な知識が不可欠です。

〇分野:税務、節税対策
〇得意な業務:相続税の計算と申告書の作成、税務調査への対応、不動産の相続税評価減、生前贈与・家族信託のアドバイス

【依頼すべきケース】
相続財産が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超え、相続税の申告が必要な場合。
不動産など評価が難しい財産が多く、適切な節税対策を行いたい場合。

3. 司法書士:不動産と登記のプロ

司法書士は、不動産に関する登記の専門家です。
相続で不動産を取得した場合、名義を故人から相続人へ変更する手続き(相続登記)は司法書士の独占業務です。
また、家庭裁判所への書類作成もサポートします。

〇分野:登記・法務、裁判所手続き
〇得意な業務:相続登記(不動産の名義変更)、遺産分割協議書の作成、遺言書の検認手続き、相続放棄の申述書類作成

【依頼すべきケース】
自宅や土地など、不動産を相続し、名義変更が必要な場合。
遺産分割はまとまっているが、煩雑な書類作成や手続きを代行してほしい場合。

4. 行政書士:書類作成と手続きのプロ

行政書士は、役所に提出する書類や権利義務に関する書類作成のエキスパートです。
相続においては、遺言書や遺産分割協議書などの作成サポートを行います。

〇分野:書類作成、調査
〇得意な業務:自筆証書遺言・公正証書遺言の原案作成、遺産分割協議書の作成、相続人調査(戸籍収集)、相続財産調査

【依頼すべきケース】
遺産分割で揉めていないが、法的に有効な遺言書を作りたい場合。
相続手続きに必要な戸籍謄本収集など、煩雑な事務作業を依頼したい場合。

専門家選びの重要ポイント

多くの相続手続きは、まず司法書士(登記や基本手続き)や行政書士(書類作成)に相談し、税金がかかるなら税理士へ、揉めたら弁護士へ、と連携して進められるのが一般的です。

【失敗しない選び方】
◆相続専門か:相続を専門とし、経験豊富な士業を選ぶ。
◆連携体制:必要に応じて他の士業(税理士、司法書士など)と連携できるネットワークを持っているか。
◆相性:親身になって話を聞いてくれるか、人柄や相性も重要。
◆料金体系:料金や費用体系が明確であるか。

あなたの抱える最も大きな問題が「税金」なのか、「トラブル」なのか、「登記」なのかを明確にし、適切な専門家を選ぶことが、円満な相続への第一歩です。

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