基礎知識・入門編⑧ 相続手続きで必須の「戸籍謄本」集め!効率的な取得方法

◆◇戸籍謄本の収集について◇◆

相続手続きの準備を始めると、必ず直面するのが「戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)」の収集です。預貯金の解約、不動産の名義変更、遺産分割協議書の作成など、あらゆる重要手続きにおいて、戸籍謄本は必須の証明書となります。

特に、故人(被相続人)の戸籍謄本は量が膨大になりやすく、効率的に集めないと時間と労力を大きく消費します。ここでは、「なぜ戸籍が必要なのか」から、「どうすれば効率よく集められるのか」までを解説します。

なぜ戸籍謄本が「必須」なのか?

相続手続きにおいて、戸籍謄本が求められる理由は主に二つあります。

1. 相続人を確定するため
相続財産を誰に引き継がせるか、遺産分割協議を誰と行うかは、法定相続人が誰であるかにかかっています。戸籍謄本は、この法定相続人が誰であるかを公的に証明する唯一の書類です。
特に故人の戸籍は、出生から死亡までの連続した記録をたどることで、結婚・離婚や養子縁組、認知した子どもの有無などを確認し、漏れなく相続人を確定するために不可欠となります。

2. 法定相続分を確認するため
故人と相続人との関係性(配偶者、子、親、兄弟など)によって、遺産を相続する割合(法定相続分)が変わってきます。戸籍謄本はその関係性を証明します。

集めるべき戸籍の種類と範囲

相続手続きで集めるべき戸籍は、大きく分けて以下の3種類です。

被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本:

出生から死亡までのすべての連続した戸籍(除籍謄本、改製原戸籍を含む)が必要です。本籍地を転々としている場合、複数の自治体への請求が必要となり、最も手間がかかります。

相続人全員の現在の戸籍謄本:

相続人全員が、現在生存していることを証明するために必要です。

相続人が故人より先に亡くなっている場合:

代襲相続が発生していることを証明するため、その相続人の死亡が記載された戸籍謄本が必要になります。

効率的な戸籍謄本取得のステップ

戸籍集めをスムーズに進めるための手順は以下の通りです。

ステップ1:最後の本籍地からスタート
まずは、故人の死亡時の本籍地がある市区町村役場に、死亡の記載がある戸籍を請求します。

ステップ2:「前の本籍地」をたどる
取得した戸籍(除籍謄本や改製原戸籍)には、「いつ、どこから転籍してきたか」という一つ前の本籍地が必ず記載されています。この情報を頼りに、一つ前の本籍地の役所に請求し、さらにその前の戸籍をたどっていきます。これを「出生」の記載がある戸籍に辿り着くまで繰り返します。

ステップ3:郵送請求をフル活用する
本籍地が遠方にある場合や、複数の役場に請求する必要がある場合は、すべてを郵送で済ませることができます。

郵送請求の必要書類:
申請書(各役場のホームページからダウンロード可能)
本人確認書類のコピー(運転免許証など)
手数料分の定額小為替(郵便局で購入)
返信用封筒と切手

◎専門家への依頼
最も効率的で確実な方法は、司法書士や行政書士といった相続手続きの専門家に依頼することです。専門家は、委任状に基づき、すべての戸籍収集を代行してくれます。時間と労力を節約し、漏れのない完璧な書類を揃えたい場合は、依頼を検討しましょう。

相続は期限との勝負です。戸籍収集をいち早く終わらせることが、その後の手続き全体のスピードアップにつながります。

電話で相談 メール相談 お客様の声を見る