遺言書作成・活用編② 自筆証書遺言と公正証書遺言、あなたに最適なのはどっち

◆◇自筆証書遺言と公正証書遺言の違いは?◇◆

「終活」の一環として遺言書作成を考えるとき、大きく分けて二つの方式があります。
一つは自分で書く「自筆証書遺言」、もう一つは公証役場で作成する「公正証書遺言」です。
どちらも法的な効力を持つ遺言書ですが、その作成方法、費用、そして効力には大きな違いがあります。どちらがご自身の状況に最適かを見極めるため、それぞれのメリット・デメリットを比較解説します。

1. 自筆証書遺言:手軽さが最大のメリット

自筆証書遺言は、遺言者が全文、日付、氏名を自分で書き、押印することで成立します。

◎メリット:手軽さ(費用がかからず、いつでも作成・修正が可能)、秘密保持(内容を誰にも知られずに作成できる)
◎デメリット:無効リスク(形式不備で無効になるリスクが高い(特に日付、押印の抜けなど))、紛失リスク(保管が自己責任となり、紛失や改ざんのリスクがある)、手続きの煩雑さ(発見後、家庭裁判所での検認手続きが必要)

【こんな方におすすめ】
財産がシンプルで少額であり、費用をかけずに手軽に作成したい方。
頻繁に内容を変更する可能性がある方。

2. 公正証書遺言:確実性と安全性が魅力

公正証書遺言は、公証役場にて、公証人が遺言者の話を聞き取り、証人2人以上の立ち会いのもとで作成するものです。

◎メリット:確実性(公証人が法律に基づいて作成するため、内容が無効になる心配がほぼない)、安全性(原本が公証役場に永久に保管され、紛失や偽造の心配がない)、手続きの簡略化(家庭裁判所の検認手続きが不要。相続開始後の手続きがスムーズ)、病床でも作成可(公証人に出張してもらい、病院や自宅でも作成が可能)
◎デメリット:費用と手間(公証人の手数料(遺産額に応じて変動)や、証人の手配が必要)

【こんな方におすすめ】
財産規模が大きい、または不動産など複雑な財産を持つ方。
「絶対に家族で揉めさせたくない」と確実性を重視する方。
高齢や病気で自筆が難しい方。

決定的な違い:「検認手続き」の有無

自筆証書遺言と公正証書遺言の最も大きな違いは、相続発生後の手続きです。

自筆証書遺言: 必ず家庭裁判所に提出し、検認を受けなければなりません。この手続きには時間と手間がかかり、勝手に開封すると過料(罰金)の対象になる場合があります。
公正証書遺言: 公証人が作成しているため、検認は不要です。すぐに遺言の内容を実現に移すことができ、相続手続きが大幅にスピードアップします。

あなたに最適なのはどっち?
ご自身の状況に合わせて、最適な遺言書を選びましょう。

確実性、スピード、家族の平穏を最優先するなら、迷わず「公正証書遺言」を選びましょう。初期費用はかかりますが、確実に遺言内容を実現し、残された家族の負担を最小限に抑えることができます。

とりあえず簡単に意思を残したい場合は「自筆証書遺言」ですが、形式不備や紛失のリスクを避けるため、法務局で保管してもらう「自筆証書遺言書保管制度」の利用も検討しましょう。

どちらを選ぶにせよ、「遺言書がある」という事実が、家族の絆を守る最大の力となります。

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