エンディングノートではダメ?遺言書との決定的な違い

エンディングノートと遺言書の違いについて

「終活を始めよう」と思ったとき、多くの人がまず手に取るのが「エンディングノート」です。書店や市役所でも手に入りやすく、自分の想いや希望を自由に書き込めるため、非常に人気があります。

しかし、相続の実務においてよくある悲劇が、「エンディングノートに全部書いたから、遺言書は書かなくていいだろう」という誤解です。実は、この二つは似て非なるもので、役割が全く異なります。なぜエンディングノートだけでは不十分なのか、その決定的な違いを解説します。

1. 最大の違いは「法的拘束力」の有無

一言で言えば、遺言書には「法的効力」があり、エンディングノートには「ありません」。

◎遺言書: 法律(民法)で定められた形式に従って作成される公的な文書です。「長男に不動産を、長女に預金を」と書けば、原則としてその通りに遺産を分ける強制力が発生します。
◎エンディングノート: あくまで「お願い」や「日記」に近い存在です。たとえノートに「全財産を妻に」と書いてあっても、他の親族が反対すれば、結局は話し合い(遺産分割協議)が必要になり、法的な力で解決することはできません。

2. 「何を伝えるか」という役割の違い

この二つは、カバーする情報の領域が異なります。
◎遺言書の領域:【死後の財産】 預貯金の分配、不動産の承継、子どもの認知、遺贈(寄付)など、主に「お金と権利」に関する意思決定を確実にするためのものです。
◎エンディングノートの領域:【生前・死後の希望と情報】 介護や延命治療の希望、葬儀のスタイル、友人知人の連絡先リスト、SNSのID・パスワード、家族への感謝のメッセージなど、「遺言書には書きにくい、よりパーソナルな情報」を伝えるためのものです。

3. エンディングノートだけだと「争族」を止められない理由

例えば、兄弟仲が悪いケースを想像してください。エンディングノートに「兄弟仲良く分けてほしい」と切実な想いを書いても、実際に遺産分割が始まれば、一円でも多く欲しいという欲や感情が優先されてしまうのが現実です。
遺言書があれば、話し合いそのものをスキップして手続きを進められますが、ノートだけの場合は、全員の印鑑が必要な「遺産分割協議」を避けられません。 そこで一人でも反対すれば、手続きはストップし、裁判沙汰へと発展してしまいます。

4. 理想は「二刀流」の使い分け

どちらか一方を選ぶのではなく、「遺言書で骨組み(財産)を固め、エンディングノートで肉付け(想いと情報)をする」のが、最も賢い終活です。

1.遺言書(特に公正証書)で: 誰が何を相続するかを法的に確定させ、争いの火種を完全に消し込みます。

2.エンディングノートで: 遺言書では伝えきれない「なぜこのような分け方にしたのか」という理由(付言事項)を詳しく書き、家族が納得できる心のケアを行います。また、ネット銀行のIDなど、手続きに必要な情報を網羅します。

まとめ

エンディングノートは「家族を迷わせないため」のもの、遺言書は「家族を争わせないため」のものです。この二つが揃って初めて、あなたの意思は完璧な形で次世代へと引き継がれるのです。

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