会社設立の準備から登記完了まで「やることリスト」と進め方を完全網羅
「会社を設立したいけれど、何から手を付ければよいのかわからない」。そんな悩みを抱える方は少なくありません。会社設立には、商号や資本金の決定から定款(会社のルールブック)の作成・認証、法務局への登記申請、そして設立後の税務署・年金事務所への届出まで、数多くの手続きが待っています。順番を間違えるとやり直しになったり、期限を過ぎて不利益を受けたりすることもあります。
本記事では、会社設立の準備から登記完了後の届出までに「やること」を時系列のリスト形式で完全網羅し、各ステップの進め方・費用・期限を税理士がわかりやすく解説します。この記事をチェックリスト代わりに使えば、抜け漏れなく設立手続きを進められます。
📌 この記事のポイント
- ・会社設立のやることは「準備 → 定款 → 登記 → 届出」の4フェーズに整理できる
- ・設立費用の目安は株式会社で約22〜25万円、合同会社で約6〜10万円
- ・登記申請から完了までは最短7〜10営業日、準備開始からは2週間〜1か月が目安
- ・設立後は税務署・自治体・年金事務所への届出に期限があるので要注意
- ・迷ったら税理士に相談すれば、設立から節税・届出まで一括サポートを受けられる
会社設立でやることの全体像|4つのフェーズを押さえよう
会社設立とは、法務局で設立登記を行い、法人格を持つ会社(株式会社・合同会社など)を新しく作る手続きのことです。やるべきことは多いものの、大きく分けると次の4フェーズに整理できます。
| フェーズ | 主なやること | 期間の目安 |
|---|---|---|
| ① 準備 | 商号・事業目的・資本金など基本事項の決定、実印の作成 | 3日〜2週間 |
| ② 定款 | 定款の作成、公証役場での認証(株式会社のみ) | 3日〜1週間 |
| ③ 登記 | 資本金の払込、法務局への設立登記申請 | 申請後7〜10営業日程度 |
| ④ 届出 | 税務署・都道府県・市区町村・年金事務所への届出、銀行口座開設 | 登記完了後1〜2か月以内 |
準備開始から登記完了までの期間は、スムーズに進めば2週間〜1か月程度が目安です。登記申請日が会社の「設立日」になるため、希望の設立日がある方は逆算してスケジュールを組みましょう。以下、フェーズごとのやることリストを順番に見ていきます。
【フェーズ①】会社設立の準備でやることリスト
最初のフェーズでは、定款や登記申請書に記載する会社の基本事項を決めます。ここでの決定内容が後の手続きすべてのベースになるため、丁寧に検討しましょう。
商号・事業目的・本店所在地を決める
まず決めるのは次の3つです。
- 商号(会社名):同一住所に同一商号がないか、法務局の「オンライン登記情報検索」などで確認します。銀行や取引先の印象も考えて決めましょう。
- 事業目的:会社が行う事業の内容です。定款に書いていない事業は原則行えないため、将来やる可能性のある事業も含めて記載するのが実務上のポイントです。
- 本店所在地:自宅・賃貸オフィス・レンタルオフィスなどが選べます。賃貸物件の場合は法人登記が可能か契約内容を確認しておきましょう。
資本金・出資者・役員構成を決める
資本金は1円から設立できますが、実務上は初期費用+運転資金3〜6か月分(100万円〜300万円程度)を目安にする会社が多いです。資本金1,000万円以上にすると設立初年度から消費税の課税事業者になるため、税負担の観点では1,000万円未満に抑えるのが一般的です。あわせて、誰がいくら出資するか、取締役を誰にするかも決めます。
決算月(事業年度)を決める
決算月は自由に決められます。設立日から最も遠い月にして初年度を長く取る、繁忙期を避ける、消費税の免税期間を最大化する、といった観点で決めるのがセオリーです。決算月の設計は節税に直結するため、迷う場合は税理士への相談をおすすめします。
会社の実印(代表者印)を作成する
登記申請には会社の実印が必要です。一般に「実印(代表者印)・銀行印・角印」の3点セットを作成します。作成には数日かかるため、商号が決まったら早めに発注しておきましょう。あわせて個人の印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)も取得しておきます。
【フェーズ②】定款の作成と公証役場での認証
定款を作成する
定款とは、商号・事業目的・本店所在地・資本金・役員などを定めた会社の根本規則です。記載事項には、必ず書かなければならない「絶対的記載事項」と、書かないと効力が生じない「相対的記載事項」があります。ひな形を流用しただけの定款は後の増資や事業拡大で不都合が出ることもあるため、専門家のチェックを受けると安心です。
公証役場で定款認証を受ける(株式会社のみ)
株式会社は、本店所在地と同じ都道府県内の公証役場で定款の認証を受ける必要があります。認証手数料は資本金額に応じて3万〜5万円です。紙の定款には4万円の収入印紙が必要ですが、電子定款なら印紙代4万円が不要になります。なお、合同会社は定款認証が不要のため、このステップは省略できます。
【フェーズ③】資本金の払込と法務局への登記申請
資本金を払い込む
定款認証後(合同会社は定款作成後)、発起人個人の銀行口座に資本金を払い込みます。この時点ではまだ法人口座は作れないため、個人口座で問題ありません。通帳の表紙・1ページ目・入金ページのコピーを取り、「払込証明書」を作成します。
登記申請書類をそろえて法務局に申請する
本店所在地を管轄する法務局に、設立登記を申請します。株式会社の主な必要書類は以下のとおりです。
📋 登記申請の必要書類チェックリスト(株式会社の例)
- ☐ 設立登記申請書
- ☐ 認証済みの定款(謄本)
- ☐ 登録免許税分の収入印紙を貼った納付用台紙
- ☐ 発起人の同意書・決定書(必要な場合)
- ☐ 代表取締役・取締役の就任承諾書
- ☐ 取締役全員の印鑑証明書(取締役会非設置の場合)
- ☐ 払込証明書(通帳コピー付き)
- ☐ 印鑑届出書(会社実印の登録)
- ☐ 登記すべき事項を記録した書面またはデータ
登録免許税は、株式会社が資本金×0.7%(最低15万円)、合同会社が資本金×0.7%(最低6万円)です。登記申請をした日が会社の設立日になります。大安など希望日がある場合はその日に申請しましょう(法務局が開いている平日に限ります)。
登記完了までの期間と完了後にすぐやること
登記の完了までは、申請から7〜10営業日程度が目安です(法務局の混雑状況により変動します)。完了したら、その後の手続きで繰り返し使う次の2点をすぐに取得しましょう。
- 履歴事項全部証明書(登記簿謄本):数通まとめて取得しておくと便利です
- 印鑑カード・印鑑証明書:法人の実印用の証明書です
【フェーズ④】登記完了後にやることリスト(届出・手続き)
登記が完了しても、それで終わりではありません。むしろ設立後の届出こそ期限が細かく定められており、忘れると税金面で大きく損をすることがあります。2026年7月現在の主な届出は以下のとおりです。
税務署への届出
| 届出書類 | 提出期限 |
|---|---|
| 法人設立届出書 | 設立日から2か月以内 |
| 青色申告の承認申請書 | 設立日から3か月以内か最初の事業年度終了日のいずれか早い日の前日まで |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 開設から1か月以内 |
| 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 随時(提出した翌月分から適用) |
特に青色申告の承認申請書は要注意です。期限を過ぎると初年度は白色申告となり、赤字の繰越控除(最長10年)などの優遇が受けられません。設立届と同時に提出してしまうのが確実です。
都道府県・市区町村への届出
税務署とは別に、都道府県税事務所と市区町村役場にも「法人設立届出書」を提出します。提出期限は自治体によって異なり、設立から1か月以内などと定められているケースが多いため、本店所在地の自治体のルールを確認しましょう。
年金事務所での社会保険手続き
会社を設立したら、社長1人だけの会社でも社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務です。健康保険・厚生年金保険新規適用届の提出期限は、設立から5日以内と非常に短いため、登記完了前から準備しておくのが実務上のコツです。従業員を雇う場合は、労働基準監督署(労災保険)とハローワーク(雇用保険)での手続きも必要になります。
法人銀行口座の開設・その他のやること
- 法人銀行口座の開設:審査に2週間〜1か月かかることもあるため早めに申し込みます
- 役員報酬の決定:設立から3か月以内に決定し、以後は原則1年間変更できません(定期同額給与)
- 会計ソフトの導入・税理士との顧問契約:帳簿付けは設立初月から必要です
- 許認可の申請:建設業・飲食業・古物商など、業種によっては営業開始前に許認可が必要です
- インボイス登録の検討:取引先との関係で適格請求書発行事業者の登録が必要か検討します
会社設立の費用はいくら?株式会社と合同会社の比較
やることリストとあわせて押さえておきたいのが費用です。法定費用の目安は株式会社で約22〜25万円、合同会社で約6〜10万円です(2026年7月現在)。
| 費用項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 定款認証手数料 | 3万〜5万円 | 不要 |
| 定款の収入印紙代 | 4万円(電子定款なら0円) | 4万円(電子定款なら0円) |
| 登録免許税 | 15万円〜(資本金×0.7%) | 6万円〜(資本金×0.7%) |
| 謄本・証明書等の実費 | 数千円程度 | 数千円程度 |
| 合計目安 | 約22万〜25万円 | 約6万〜10万円 |
このほか、会社実印の作成費や印鑑証明書の取得費、専門家に依頼する場合の報酬がかかります。なお、自治体や商工会議所の特定創業支援等事業を利用すると、登録免許税が半額になる制度もあります。使える制度がないか、設立前に確認しておきましょう。
自分でやる?専門家に依頼する?進め方の選び方
会社設立の手続きは自分でも行えますが、書類作成や役所とのやり取りに相応の時間がかかります。専門家に依頼する場合の役割分担は次のとおりです。
- 司法書士:登記申請の代理ができる唯一の士業。登記まわりを一括で任せられます
- 行政書士:定款作成・認証代行や許認可申請に対応します
- 税理士:資本金・決算月・役員報酬の設計、設立後の税務届出、節税・融資・補助金のサポートを行います
設立時の「登記」はゴールではなくスタートです。設立後は毎年の決算・申告が必ず発生するため、設立段階から税理士に相談しておくと、税務上有利な形で会社を設計できるメリットがあります。多くの税理士事務所では、提携司法書士と連携して設立手続き全体をワンストップで支援しています。
まとめ|やることリストを使って計画的に進めよう
会社設立でやることは、「①基本事項の決定 → ②定款の作成・認証 → ③資本金払込と登記申請 → ④設立後の届出」の4フェーズに整理できます。特に設立後の届出は、青色申告承認申請(3か月以内等)や社会保険の新規適用届(5日以内)など期限が短いものが多く、ここでのつまずきが後々の税負担に響きます。本記事のチェックリストを活用し、抜け漏れのない設立を実現してください。決算月や資本金の設計、節税や創業融資まで見据えるなら、早い段階で税理士に相談するのが近道です。
会社設立のご相談は、ヤマザキ税理士事務所へ
埼玉県の税理士として、会社設立から節税・補助金申請まで一括サポートします。春日部市・越谷市・さいたま市・草加市・川口市・久喜市など埼玉県全域に対応。初回相談無料です。
よくある質問(FAQ)
Q. 会社設立にかかる費用はいくらですか?
株式会社は登録免許税15万円〜+定款認証手数料3万〜5万円+実費で約22万〜25万円、合同会社は登録免許税6万円〜+実費で約6万〜10万円が目安です。電子定款を使えば印紙代4万円を節約できます。専門家に依頼する場合は別途報酬がかかります。
Q. 会社設立の手続きは何日かかりますか?
準備開始から登記完了まで2週間〜1か月程度が目安です。登記申請自体は、法務局に申請してから完了まで7〜10営業日程度かかります。なお、会社の設立日は登記が完了した日ではなく「登記を申請した日」です。
Q. 自分で会社設立することはできますか?
可能です。ただし定款や登記書類の作成に手間がかかるほか、資本金・決算月・役員報酬などの設計を誤ると税負担で損をすることがあります。時間を事業準備に使いたい方や税務面も最適化したい方は、税理士・司法書士への依頼を検討しましょう。
Q. 役員報酬はいつから受け取れますか?
設立後、株主総会等で決定すればすぐに支給を開始できます。ただし役員報酬を経費(損金)にするには、設立から3か月以内に金額を決定し、原則として事業年度を通じて毎月同額を支給する必要があります(定期同額給与)。
Q. 社会保険の手続きが設立から5日を過ぎてしまったらどうなりますか?
期限を過ぎても手続きは受け付けてもらえるため、気づいた時点ですぐに年金事務所へ提出しましょう。ただし、加入義務の発生日(設立日)にさかのぼって保険料を納めることになります。放置すると遡及徴収や指導の対象になるため、早めの対応が肝心です。
Q. 会社設立後、税務署への届出はいつまでに行えばよいですか?
法人設立届出書は設立日から2か月以内、青色申告の承認申請書は設立日から3か月以内か最初の事業年度終了日のいずれか早い日の前日までが期限です。青色申告の申請は特に忘れやすいため、設立届と同時に提出することをおすすめします。
Q. 資本金はいくらにすればよいですか?
1円から設立できますが、実務上は初期費用+運転資金3〜6か月分(100万〜300万円程度)が目安です。1,000万円以上にすると設立初年度から消費税の課税事業者になるため、税負担を考えると1,000万円未満に抑えるのが一般的です。事業計画に合わせて税理士に相談しましょう。
Q. 株式会社と合同会社はどちらがよいですか?
対外的な信用力や将来の資金調達を重視するなら株式会社、設立費用を抑えてスピーディーに始めたいなら合同会社が向いています。合同会社は設立費用が約6万〜10万円と安く、決算公告義務もありません。事業内容や取引先の性質を踏まえて選びましょう。
監修者
税理士 山﨑 健司(ヤマザキ税理士事務所)
埼玉県を中心に、会社設立・節税対策に詳しい税理士。中小企業・個人事業主の起業支援に豊富な経験を持つ。




