合同会社のメリット・デメリット|設立費用と手続きの流れを株式会社と比較

合同会社のメリット・デメリットと設立手続き

「合同会社って安く作れるらしいけど、デメリットはないの?」

合同会社は近年増加している会社形態で、新設法人のおよそ3割弱程度を占めるまでになっています。Google・Amazonの日本法人が合同会社であることも、知名度を押し上げています。合同会社は約7万〜10万円と株式会社の半分以下の費用で、最短1〜2週間程度で設立できるのが最大の魅力です(2026年現在)。

本記事では、合同会社のメリット・デメリット、設立費用、手続きの流れまで、株式会社と比較しながら税理士がわかりやすく解説します。

📌 この記事のポイント

  • ・合同会社の法定費用は約7万〜10万円。株式会社(約20万〜25万円)の半分以下
  • ・定款認証が不要なため、株式会社より早く設立できる(最短1〜2週間程度)
  • ・決算公告・役員任期がなく、維持コストも低い
  • ・デメリットは知名度の低さと、株式発行による資金調達・上場ができないこと
  • ・税金の扱いは株式会社と同じで、法人化の節税メリットはフルに受けられる

合同会社とは?近年選ばれている理由

合同会社(LLC)は、2006年の会社法施行で新設された会社形態です。

出資者(社員と呼びます)全員が有限責任で、出資者自身が経営を行う「所有と経営の一致」が特徴です。

設立費用の安さと運営の自由度から年々設立数が増えており、個人事業主の法人化・資産管理会社・店舗ビジネスなど小規模経営を中心に定着しています。

「安かろう悪かろう」の形態ではなく、法人格・有限責任・節税メリットは株式会社と同等です。

合同会社の7つのメリット

合同会社の主なメリットは次の7つです。

  1. 設立費用が安い:登録免許税は最低6万円。法定費用は約7万〜10万円で、株式会社の半分以下です。電子定款を使えば実質6万円程度で設立できる場合もあります
  2. 定款認証が不要:公証役場での認証手続き(1万5,000円〜5万円+日数)が丸ごと不要。設立スピードも早まります
  3. 決算公告が不要:株式会社に義務付けられる官報掲載(年約7万円程度)がかかりません
  4. 役員の任期がない:任期ごとの重任登記(登録免許税1万円+司法書士報酬)が不要です
  5. 利益配分を自由に決められる:定款で定めれば、出資比率と異なる配分が可能です
  6. 意思決定が速い:株主総会が不要で、社員の合意でスピーディーに経営判断できます
  7. 節税メリットは株式会社と同じ:役員報酬による所得分散・経費範囲の拡大・消費税の免税制度など、法人化の恩恵をすべて受けられます

合同会社の4つのデメリット

一方で、次のデメリットは契約や採用、将来の資金調達に関わるため、設立前に必ず確認しましょう。

  1. 知名度・信用力が株式会社に劣る:大手企業との取引口座開設や採用の場面で不利になることがあります
  2. 株式発行による資金調達・上場ができない:ベンチャーキャピタルからの出資受け入れやIPOを目指す事業には不向きです
  3. 代表者の肩書が「代表社員」:「代表取締役」を名乗れないため、名刺や契約書で印象の差が出る場合があります
  4. 社員同士が対立すると意思決定が停滞しやすい:原則として社員の過半数(重要事項は全員)の同意が必要なため、対等な共同経営では揉めたときのルールを定款で決めておくことが重要です

合同会社の設立費用|株式会社と比較

法定費用を株式会社と比較すると次のとおりです。

項目 合同会社 株式会社
定款認証手数料 0円(認証不要) 1万5,000円〜5万円
定款の収入印紙代(紙の場合) 4万円(電子定款なら0円) 4万円(電子定款なら0円)
登録免許税 最低6万円 最低15万円
合計 約7万〜10万円 約20万〜25万円

*スライドすることで表の全てが読めます。

電子定款を使えば、合同会社は実質6万円程度で設立できる場合もあります。

さらに市区町村の特定創業支援等事業の証明書があれば登録免許税が半額の3万円になります(証明書を発行した市区町村と同じ市区町村内での設立に限ります)。この場合、法定費用を3万円程度まで抑えられる場合もあります。

合同会社設立の手続きの流れ|5つのステップ

合同会社の設立は次の5ステップで進みます。

定款認証がないぶん、株式会社より工程が1つ少なく、最短1〜2週間程度で完了します。

STEP1 基本事項の決定と定款の作成

商号(会社名)・本店所在地・事業目的・資本金・社員構成などを決め、定款(会社のルールブック)を作成します。

合同会社は公証役場での認証が不要なため、作成した定款はそのまま登記に使えます。利益配分や意思決定のルールもこの段階で定款に盛り込みます。

STEP2 出資金(資本金)の払込

代表社員個人の銀行口座に出資金を振り込み、通帳のコピー等で払込を証明します。

資本金は1円から設立できますが、当面の運転資金や信用面を考えると、初期費用+運転資金3〜6か月分を目安にするのが現実的です。

STEP3 法務局への設立登記申請

設立登記申請書・定款・払込証明書類・印鑑届出書などを法務局に提出し、登録免許税(最低6万円)を納付します。

申請日が会社の設立日になります。登記完了までは1〜2週間程度が目安です。なお、登記申請の代理は司法書士の独占業務です。

STEP4 税務署・都道府県・市区町村への届出

登記完了後は税務関係の届出が待っています。

法人設立届出書は設立から2か月以内、青色申告承認申請書は設立の日以後3か月を経過した日と第1期の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日までが期限です。青色申告承認申請を出し忘れると、初年度の赤字を翌年以降に繰り越せず大きな損になるため、最優先で提出しましょう。

STEP5 社会保険・労働保険の手続き

法人は社長1人でも社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務です。

年金事務所への新規適用届は設立から5日以内が原則とされています。従業員を雇う場合は労働基準監督署・ハローワークでの労働保険手続きも必要です。

株式会社とどちらを選ぶべき?

費用・スピード・維持コスト重視なら合同会社、対外的な信用力や出資・上場を見据えるなら株式会社が基本の判断軸です。

迷ったら次の基準で考えましょう。

  • 合同会社が向いている:個人事業主の法人化、資産管理会社、店舗・サロン、少人数・家族経営、BtoC事業
  • 株式会社が向いている:大手との取引・許認可ビジネス、VC出資・上場志向、積極採用による組織拡大

合同会社から株式会社への組織変更は後からでも可能ですが、債権者保護手続きなどで1か月以上の期間と約10万円程度の費用がかかります。

将来の事業計画から逆算して選ぶことが大切です。

まとめ|合同会社は「小さく賢く始める」のに最適な形態

合同会社は、法定費用約7万〜10万円・最短1〜2週間で設立でき、決算公告や役員任期もないため維持コストも低い会社形態です。

税金の扱いは株式会社と同じで、法人化の節税メリットはフルに受けられます。一方で、知名度や株式による資金調達では株式会社に劣るため、事業の性質と将来計画に合わせた選択が重要です。

会社形態の選択や資本金の設定は、消費税免税や役員報酬の設計にも影響します。

設立前に税理士へ相談しながら進めるのが確実です。

会社設立のご相談は、ヤマザキ税理士事務所へ

春日部市、越谷市、さいたま市を中心に、会社設立・創業融資・節税対策をサポートする税理士事務所。初めての方も安心してご相談いただけます。初回相談無料です。

よくある質問(FAQ)

Q. 合同会社は1人でも設立できますか?

できます。社員(出資者)1人から設立可能で、実際に1人会社としての利用が多い形態です。社長1人でも社会保険への加入は必要です。

Q. 合同会社の設立は何日かかりますか?

準備から登記完了まで最短1〜2週間程度が目安です。定款認証が不要なぶん、株式会社(2〜3週間程度)より早く設立できます。

Q. 資本金1円でも合同会社を作れますか?

法律上は可能です。ただし融資審査や取引先の与信で不利になりやすいため、初期費用+運転資金3〜6か月分を目安に設定するのが現実的です。

Q. 合同会社のランニングコストはいくらですか?

赤字でも法人住民税の均等割が年7万円程度かかります。ただし株式会社と違い決算公告費用や役員重任登記の費用は不要です。税理士報酬は年20万〜50万円程度が相場です。

Q. 合同会社でも消費税の免税は受けられますか?

受けられます。資本金1,000万円未満などの要件を満たせば、設立から最大2年程度、消費税の納税義務が免除される場合があります。株式会社と同じ制度です。

Q. 設立後の届出はいつまでに必要ですか?

法人設立届出書は設立から2か月以内、青色申告承認申請書は設立の日以後3か月を経過した日と第1期の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日まで(多くの場合は設立から3か月以内)です。社会保険の新規適用届は原則5日以内です。

Q. 後から株式会社に変更できますか?

できます。組織変更手続きにより移行可能ですが、債権者保護手続きなどで1か月以上かかり、約10万円程度の費用が発生します。

Q. 合同会社の設立は自分でできますか?税理士に頼むべきですか?

自分でも可能です。ただし電子定款による印紙代4万円の節約、資本金・役員報酬の税務設計、設立後の届出漏れ防止を考えると、専門家への相談が結果的に得になるケースが多いです。なお登記申請の代理は司法書士の独占業務のため、税理士事務所では連携する司法書士が対応します。

監修者

税理士 山﨑 健司(ヤマザキ税理士事務所)
春日部市、越谷市、さいたま市を中心に、会社設立・創業融資・節税対策をサポートする税理士事務所。中小企業・個人事業主の起業支援に豊富な経験を持つ。


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