定款とは何か?会社設立の定款作成・公証役場での認証手続きをわかりやすく税理士が解説

「会社設立には定款が必要と言われたけれど、そもそも定款が何なのかわからない」
はじめて会社を作る方なら、誰もが一度はつまずくポイントです。
結論からいえば、定款(ていかん)とは、会社の目的・組織・運営ルールを定めた「会社のルールブック」で、会社設立時に必ず作成します。
何を書くか・どう認証を受けるかさえ押さえれば、決して難しいものではありません。
この記事では、定款とは何かという基本から、記載事項の3区分、公証役場での認証手続きと手数料、電子定款のメリット、合同会社の注意点までを税理士がわかりやすく解説します。
手数料などの金額は2026年現在の目安です。
📌 この記事のポイント
- ・定款(ていかん)は会社の基本ルールを定めた文書で、設立時に必ず作成する
- ・記載事項は「絶対的・相対的・任意的」の3区分。絶対的記載事項が欠けると定款は無効
- ・株式会社は公証役場での認証が必要(手数料1万5,000円〜5万円程度)。合同会社は認証不要
- ・電子定款なら収入印紙代4万円が不要(株式会社・合同会社とも)
- ・事業年度・役員任期・資本金など定款の設計は税務に影響する
定款とは?会社のルールブックをわかりやすく解説
定款(ていかん)とは、会社の目的・組織・運営方法など、会社の基本ルールを定めた文書のことです。
「会社のルールブック」「会社の憲法」と例えられ、会社設立時に必ず作成します。
設立時に最初に作る定款は「原始定款」と呼ばれます。
定款は何のためにある?
定款には、大きく3つの役割があります。
- ・法律の要請:定款の作成は会社設立の法律上の必須手続き
- ・対外的な信用:金融機関や取引先が会社の目的・体制を確認する資料になる
- ・トラブル防止:株主・役員間のルールを明文化し、将来の紛争を防ぐ
設立後も、融資や許認可の申請、法人口座の開設などで定款の提出を求められる場面は多くあります。
「作って終わり」ではなく、会社の一生に付き合う書類だと考えてください。
定款と登記簿(履歴事項全部証明書)・約款との違い
定款とよく混同される言葉に「登記簿」と「約款」があります。
登記簿(履歴事項全部証明書)は法務局が管理・公開する会社情報の証明書で、定款は会社が自分で作る内部ルールの文書です。
また、約款(やっかん)は事業者がお客様と結ぶ契約の定型条項のことで、会社の内部ルールである定款とはまったく別物です。
読み方も含めて混同しやすいので注意してください。
定款に書く内容|3種類の記載事項
定款に書く内容は、法律上の効力によって次の3区分に整理できます(2026年現在)。
定款の記載事項3区分
| 区分 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 絶対的記載事項 | 必ず記載。欠けると定款自体が無効 | 目的・商号・本店所在地など5項目 |
| 相対的記載事項 | 定款に定めないと効力が生じない事項 | 株式譲渡制限・役員任期の伸長・現物出資など |
| 任意的記載事項 | 定款外で定めても有効だが、明確化のため記載 | 事業年度・役員数など |
任意的記載事項の代表例である事業年度(決算月)は、定款外で定めても有効ですが、明確化のため定款に記載するのが一般的です。
事業年度は消費税の免税期間や決算・納税の時期に影響するため、税金面から逆算して決めるべき重要項目です。
絶対的記載事項(欠けると無効)
株式会社の絶対的記載事項は、次の5項目です。
- ・目的(事業内容)
- ・商号(会社名)
- ・本店の所在地
- ・設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
- ・発起人の氏名または名称と住所
絶対的記載事項が1つでも欠けると、定款そのものが無効になります。
なお、発行可能株式総数も登記までに定める必要があります。
相対的記載事項の例(株式譲渡制限・役員任期の伸長など)
相対的記載事項は「定款に書いて初めて効力を持つ」ルールです。
代表例が株式の譲渡制限と、役員任期の伸長です。
株式会社の取締役の任期は原則2年ですが、非公開会社では定款で最長10年まで伸ばせます(2026年現在)。
任期を伸ばせば役員変更登記の頻度と費用を減らせる一方、途中で役員を交代させにくくなる面もあります。
ひとり会社か、他人と共同経営かで最適な設計は変わるため、迷ったら専門家に相談してください。
事業目的の書き方と注意点
事業目的は「飲食店の経営」「ウェブサイトの企画・制作・運営」のように、事業内容が分かる表現で箇条書きにします。
末尾に「前各号に附帯または関連する一切の事業」と入れておくのが一般的です。
注意点は2つあります。
1つは、建設業・介護・人材紹介など許認可が必要な業種では、許認可の要件に合う目的の文言を入れておくこと。
もう1つは、近い将来始める可能性のある事業もあらかじめ入れておくことです。
目的の追加には定款変更の手続きが必要になるためです。
定款作成から認証までの流れ【株式会社】
株式会社の定款は、公証役場で公証人の認証を受けて初めて効力を持ちます(合同会社は認証不要)。
流れは次の3ステップです。
STEP1 定款を作成する
法務局や公証役場のWebサイトにある記載例・テンプレートを参考に作成できます。
ただしテンプレートをそのまま使うと、株式や機関設計が自社に合わないことがあるため、内容は必ず自社の実態に合わせて調整してください。
STEP2 公証役場の事前チェックを受ける
いきなり認証に行くのではなく、まずメール等で定款案を送り、公証役場の事前チェックを受けるのが一般的です。
修正のやりとりを含め、事前準備には数日〜1週間程度見ておくと安全です(公証役場により運用が異なります)。
STEP3 認証当日(持ち物・所要時間の目安)
認証当日は、定款・発起人全員の印鑑証明書・実印・手数料などを持参します。
当日の所要時間は概ね数十分〜1時間程度が目安です(事前チェックが済んでいる場合・公証役場により異なります)。
認証を受けた定款は、そのあと法務局での設立登記の添付書類になります。
認証が終われば、設立手続きの最大の山場は越えたといえます。
認証手数料はいくら?(2024年12月改定後の料金)
定款認証の手数料は、資本金の額などに応じた段階制で、1万5,000円〜5万円程度です(2024年12月改定・2026年現在)。
資本金100万円未満で、発起人3人以下の自然人などの要件を満たすひとり会社・小規模会社なら1万5,000円で済みます。
資本金が大きくなるほど手数料は上がり、資本金500万円程度の場合は5万円程度が目安です。
正確な金額は、事前チェックの際に公証役場へ確認してください。
電子定款と紙の定款どちらがよい?
定款は紙でも電子データ(PDF)でも作成できます。
費用面では電子定款が明確に有利です。
電子定款なら印紙代4万円が不要
紙の定款には収入印紙4万円を貼る必要があります。
電子定款にすれば、紙の定款で必要な収入印紙代4万円が不要になります(株式会社・合同会社とも・2026年現在)。
自分で電子定款を作る場合のハードル
電子定款の自作には、マイナンバーカード等による電子署名と、対応ソフト・機器の準備が必要です。
1回きりの設立のためにこの環境を整えるのは手間がかかるため、自作のハードルはやや高いのが実情です。
専門家・設立サービスに依頼する場合
実務では、司法書士・行政書士などの専門家や、会社設立支援サービスを通じて電子定款を作成するケースが多くなっています。
依頼報酬がかかっても、印紙代4万円の節約と書類の正確性を考えれば十分に見合うことが多いでしょう。
ただし、設立サービスのひな形どおりに作ると、事業年度や役員任期が自社に最適とは限りません。
「作成はサービスや専門家に任せつつ、中身の設計は税理士に相談する」という組み合わせが安心です。
合同会社の定款の注意点
認証は不要だが、作成は必要
合同会社も定款の作成は必須ですが、公証役場での認証は不要です(2026年現在)。
認証手数料がかからないぶん、株式会社より設立費用を抑えられます。
紙の定款なら印紙4万円はかかる
「合同会社なら定款のお金はかからない」と誤解されがちですが、正確には認証が不要なだけです。
合同会社でも紙の定款を作れば収入印紙4万円が必要で、電子定款にすれば不要になります(2026年現在)。
この点は株式会社と同じです。
定款作成後の実務(変更・保管・税務)
定款の変更は株主総会の特別決議
定款の内容は、あとから変更できます。
株式会社では株主総会の特別決議が必要で、商号や目的など登記事項を変えた場合は変更登記もあわせて行います(2026年現在)。
手続きの詳細は専門家に確認してください。
認証費用などは「創立費」として経費化できる
定款認証の手数料や登録免許税などの設立費用は、税務上「創立費」として繰延資産に計上し、任意償却できます(2026年現在)。
好きなタイミングで経費化できるため、黒字になった年に償却して節税に使う、といった調整が可能です。
また、事業年度(決算月)・資本金・役員任期といった定款で決める項目は、消費税の免税や均等割、役員変更登記の費用など税金・コストに影響します。
定款は「法律の書類」であると同時に「税金の設計図」でもあるため、作成前に税理士へ相談する価値が大きいのです。
まとめ:定款は「会社のルールブック」であり「税金の設計図」
定款(ていかん)とは、会社の目的・組織・運営ルールを定めた文書で、会社設立時に必ず作成します。
絶対的記載事項の漏れは定款自体の無効につながり、株式会社は公証役場での認証(手数料1万5,000円〜5万円程度)が必要です。
電子定款にすれば印紙代4万円を節約できます。
そして、事業年度・資本金・役員任期など定款で決める内容は、設立後の税金を大きく左右します。
テンプレート頼みで作る前に、ぜひ一度、税理士に設立プランごと相談してみてください。
会社設立・定款の設計のご相談は、ヤマザキ税理士事務所へ
春日部市、越谷市、さいたま市を中心に、会社設立・創業融資・節税対策をサポートする税理士事務所。事業年度・資本金・役員任期など、税務に影響する定款設計もご相談いただけます。初回相談無料です。
よくある質問(FAQ)
Q. 定款とは何ですか?簡単に教えてください
定款(ていかん)とは、会社の目的・組織・運営の基本ルールを定めた文書で、「会社のルールブック」と例えられます。
会社設立時に必ず作成し、株式会社は公証役場での認証が必要です。
Q. 定款は何のためにあるのですか?
会社設立の法律上の必須書類であることに加え、金融機関・取引先への信用資料になり、株主・役員間のトラブル防止にも役立ちます。
設立後も融資や許認可の申請などで提出を求められます。
Q. 定款認証にはどれくらい時間がかかりますか?
認証当日は概ね数十分〜1時間程度が目安です。
事前チェックのやりとりを含めると数日〜1週間程度を見ておくと安全です(公証役場により異なります)。
Q. 定款認証の手数料はいくらですか?
資本金の額などに応じて1万5,000円〜5万円程度です(2024年12月改定・2026年現在)。
資本金100万円未満で一定の要件を満たす場合は1万5,000円で済みます。
Q. 合同会社の定款にも4万円かかりますか?
合同会社は定款認証は不要ですが、紙の定款を作る場合は収入印紙4万円が必要です。
電子定款にすれば印紙代は不要になります(2026年現在)。
Q. 電子定款は自分で作成できますか?
マイナンバーカード等による電子署名と対応ソフトがあれば自作も可能です。
ただし環境整備の手間から、司法書士・行政書士などの専門家や設立支援サービス経由で作成するケースが多くなっています。
Q. 定款の事業目的はどう書けばよいですか?
「飲食店の経営」のように事業内容が分かる表現で箇条書きにし、末尾に「前各号に附帯または関連する一切の事業」を入れるのが一般的です。
許認可業種は要件に合う文言か、将来の事業も含めたかを確認してください。
Q. 役員の任期は定款で決めるのですか?
株式会社の取締役の任期は原則2年で、非公開会社は定款で最長10年まで伸長できます(2026年現在)。
任期設計は役員変更登記の費用にも関わるため、会社の体制に合わせて決めましょう。
Q. 定款はあとから変更できますか?
変更できます。
株式会社では株主総会の特別決議が必要で、登記事項の変更は変更登記もあわせて行います。
手続きの詳細は専門家に確認してください。
Q. 定款の認証費用は経費になりますか?
なります。
認証手数料や登録免許税などの設立費用は「創立費」として繰延資産に計上し、任意償却できます(2026年現在)。
償却のタイミングは節税にも関わるため、税理士に相談してください。
監修者
税理士 山﨑 健司(ヤマザキ税理士事務所)
春日部市、越谷市、さいたま市を中心に、会社設立・創業融資・節税対策をサポートする税理士事務所。中小企業・個人事業主の起業支援に豊富な経験を持つ。




