会社設立後の税務署への届出一覧|青色申告承認申請書など期限と手順を税理士が解説

「会社の登記は終わったけれど、税務署への届出は何をいつまでに出せばいいのだろう」
登記完了はゴールではなく、届出ラッシュのスタートです。
期限を過ぎると損をする届出もあるため、全体像を先に押さえましょう。
結論からいえば、設立後の届出は「社会保険5日以内→給与事務所1か月以内→設立届2か月以内→青色申告3か月以内」と、期限の短い順に片づけるのがコツです。
この順番さえ守れば、出し忘れによる不利益はほぼ防げます。
この記事では、会社設立後に必要な届出を期限の早見表で整理し、法人設立届出書・青色申告の承認申請書・給与関係の届出などの書き方のポイントを税理士が解説します。
期限・制度は2026年現在のものです。
📌 この記事のポイント
- ・届出は「期限の短い順」に処理する(社会保険5日以内が最初)
- ・法人設立届出書は設立から2か月以内。罰則はないが必ず提出する
- ・青色申告の承認申請書は「設立から3か月」と「第1期末」の早い日の前日まで。最重要
- ・ひとり社長でも役員報酬を払うなら給与支払事務所等の開設届出書(1か月以内)が必要
- ・給与の支給人員が常時10人未満なら、納期の特例で源泉所得税の納付を年2回にできる
会社設立後の届出一覧【提出先と期限の早見表】
まず、主な届出を期限が短い順に一覧で確認しましょう(2026年現在)。
会社設立後の主な届出と期限
| 届出 | 提出先 | 期限 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 社会保険 新規適用届 | 年金事務所 | 設立から5日以内が原則 | 役員報酬を支払う会社 |
| 労働保険 保険関係成立届 | 労働基準監督署 | 成立の日の翌日から10日以内 | 従業員を雇う会社 |
| 雇用保険 適用事業所設置届 | ハローワーク | 設置の日の翌日から10日以内等 | 従業員を雇う会社 |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 税務署 | 開設から1か月以内 | 役員報酬・給与を支払う会社 |
| 労働保険 概算保険料申告書 | 労働基準監督署 | 50日以内 | 従業員を雇う会社 |
| 法人設立届出書 | 税務署 | 設立から2か月以内 | すべての新設法人 |
| 法人設立届(地方版) | 都道府県・市区町村 | 自治体により異なる(要確認) | すべての新設法人 |
| 青色申告の承認申請書 | 税務署 | 設立から3か月と第1期末の早い日の前日まで | 青色申告したい法人 (実質必須) |
| 源泉所得税の納期の特例の申請書 | 税務署 | 期限なし(随時) | 給与の支給人員が常時10人未満 |
期限が最も短いのは社会保険の5日以内で、次いで雇用時の10日以内、給与事務所の1か月以内と続きます。
登記完了を待たずに書類を準備しておくと、余裕を持って回れます。
このうち税務署に出すものは、実務では「4点セット」としてまとめて提出するのが定番です。
📋 税務署へまとめて出す「4点セット」チェックリスト
- ☐ 法人設立届出書(設立から2か月以内)
- ☐ 青色申告の承認申請書(設立から3か月と第1期末の早い日の前日まで)
- ☐ 給与支払事務所等の開設届出書(開設から1か月以内)
- ☐ 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(随時・支給人員が常時10人未満の場合)
期限はバラバラですが、どれも設立直後に作成できる書類です。
同じ日にまとめてe-Taxまたは窓口で提出してしまえば、出し忘れの心配がなくなります。
税務署への届出① 法人設立届出書
税務署への届出の基本が、法人設立届出書です。
提出期限は設立から2か月以内・添付書類
法人設立届出書は、設立の日(設立登記の日)以後2か月以内に、納税地の税務署へ提出します(2026年現在)。
添付書類は定款の写し等で、登記事項証明書の添付は不要とされています。
様式は国税庁サイトから入手でき、e-Taxでも提出できます。
出さないとどうなる?
提出しなくても直接の罰則はありません。
ただし、税務署からの申告案内などが届かず、申告漏れや手続き遅れにつながる不利益があるため、必ず提出すべき書類です。
控えは口座開設・融資で使う
提出時は控えを作成し、受付印のあるもの(e-Taxなら受信通知等)を保管してください。
法人口座の開設や創業融資の審査で提示を求められることがあり、コピーの利用も一般的です(2026年現在)。
税務署への届出② 青色申告の承認申請書【最重要】
設立後の届出で最も重要なのが、青色申告の承認申請書です。
期限を1日でも過ぎると取り返しがつかないため、真っ先に準備してください。
期限=「設立から3か月」と「第1期末」のいずれか早い日の前日まで
青色申告の承認申請書は、設立の日以後3か月を経過した日と第1期の事業年度終了の日とのいずれか早い日の前日までに提出しないと、第1期から青色申告の特典が使えません(2026年現在)。
特に注意が必要なのは、1期目が3か月未満の短い会社です。
この場合は「第1期末の前日」が期限になり、3か月よりずっと早く締め切られます。
出し忘れの損失は大きい
申請が間に合わないと、第1期(場合によっては第2期も)が白色申告になります。
白色では、赤字(欠損金)を10年間繰り越して将来の黒字と相殺する青色の特典などが使えません(2026年現在)。
設立初年度は赤字になりやすいだけに、この損失は非常に大きいといえます。
「設立届と同じ日に青色申告の承認申請書も出す」と決めておくのが、最も確実な出し忘れ防止策です。
税務署への届出③ 給与関係の2つの届出
役員報酬や給与を支払うなら、税務署にあと2つの届出があります。
どちらも実務上とても重要です。
給与支払事務所等の開設届出書(1か月以内・ひとり社長でも必要)
給与支払事務所等の開設届出書は、給与を支払う事務所を開設した日から1か月以内に税務署へ提出します(2026年現在)。
「従業員がいないから不要」と誤解されがちですが、ひとり社長でも自分に役員報酬を支払うなら提出が必要です。
この届出をもとに、税務署から源泉所得税の納付書などが送られてきます。
役員報酬の支払い開始(設立から3か月以内に決定)とセットで準備しましょう。
源泉所得税の納期の特例(10人未満なら納付が年2回に)
源泉所得税は原則として毎月納付ですが、給与の支給人員が常時10人未満なら、納期の特例により源泉所得税の納付を年2回(7月10日・1月20日)にまとめられます(2026年現在)。
毎月の納付事務が年2回になるため、ひとり会社・少人数の会社では実務負担が大きく減ります。
申請書の提出期限は定められておらず、随時提出できます。
原則として提出した月の翌月末までに通知がなければ承認とみなされ、その後に支払う給与分から適用されます。
設立直後に給与関係の届出とまとめて出しておくのがおすすめです。
なお、特例でまとめられるのはあくまで「納付」で、毎月の給与からの源泉徴収そのものは通常どおり行います。
年2回の納付期限(7月10日・1月20日)は金額がまとまりやすいため、納付資金を取り分けておくと安心です。
税務署以外への届出も忘れずに
届出先は税務署だけではありません。
地方自治体と社会保険・労働保険の窓口にも提出が必要です。
都道府県・市区町村への法人設立届(国税と地方税で別)
法人住民税・事業税は地方税のため、税務署とは別に、都道府県と市区町村にも法人設立届を提出します(2026年現在)。
「税務署に出したから終わり」と思い込みやすい落とし穴です。
提出期限は自治体により異なるため、本店所在地の都道府県・市区町村のWebサイト等で必ず確認してください。
税務署より短い期限を設定している自治体もあります。
年金事務所への社会保険の届出(5日以内)
役員報酬を支払う場合、健康保険・厚生年金の新規適用届を設立から5日以内に年金事務所へ提出するのが原則です(2026年現在)。
全届出の中で最も期限が短いため、登記完了前から書類を準備しておきましょう。
従業員を雇うなら労基署・ハローワークへ
従業員を雇う場合は、労働基準監督署へ労働保険の保険関係成立届(成立の日の翌日から10日以内)と概算保険料申告書(50日以内)、ハローワークへ雇用保険適用事業所設置届(設置の日の翌日から10日以内等)を提出します(2026年現在)。
設立と同時に採用する場合は、届出が一気に増える点に注意してください。
該当する場合のみ提出する届出
消費税関係の届出
課税事業者選択届出書や簡易課税制度選択届出書などの消費税関係の届出は、該当する場合のみ提出します。
新設法人の免税の仕組みやインボイスとの関係は、消費税免除を解説した記事をご覧ください。
棚卸資産の評価方法・減価償却方法の届出(任意)
棚卸資産の評価方法や減価償却資産の償却方法の届出書は任意で、提出しない場合は法定の方法が適用されます(2026年現在)。
提出する場合の期限は第1期の確定申告書の提出期限までです。
有利な方法の選択は税理士に相談してください。
まとめ:届出は「期限の短い順」に。設立前からの準備が最強
会社設立後の届出は、社会保険(5日以内)→雇用関係(10日以内〜)→給与支払事務所(1か月以内)→法人設立届出書(2か月以内)→青色申告の承認申請書(3か月と第1期末の早い日の前日まで)の順に片づけるのが鉄則です。
都道府県・市区町村への届出も忘れず、期限は自治体に確認してください。
期限の短い届出が多いため、登記が終わってから調べ始めると間に合わないことがあります。
設立前の段階から税理士に相談しておけば、税務の届出をスムーズに済ませられます。
設立後の届出・税務手続きのご相談は、ヤマザキ税理士事務所へ
春日部市、越谷市、さいたま市を中心に、会社設立・創業融資・節税対策をサポートする税理士事務所。青色申告や納期の特例など、期限のある税務手続きもご相談いただけます。初回相談無料です。
よくある質問(FAQ)
Q. 会社設立後、税務署にはいつまでに届出しますか?
法人設立届出書は設立から2か月以内、給与支払事務所等の開設届出書は開設から1か月以内、青色申告の承認申請書は設立から3か月と第1期末の早い日の前日までです(2026年現在)。
期限の短いものから順に提出しましょう。
Q. 法人設立届出書を提出しないとどうなりますか?
直接の罰則はありませんが、税務署からの申告案内などが届かず、申告漏れや手続き遅れの原因になります。
不利益しかないため、必ず期限内に提出してください。
Q. 法人設立届出書はどこで入手できますか?
国税庁のWebサイトから様式をダウンロードでき、e-Taxでの提出も可能です(2026年現在)。
添付書類は定款の写し等で、登記事項証明書の添付は不要とされています。
Q. 法人設立届出書は都道府県にも出すのですか?
出します。
税務署(国税)とは別に、都道府県と市区町村(地方税)にも法人設立届の提出が必要です。
期限は自治体により異なるため、本店所在地の自治体に必ず確認してください。
Q. 青色申告の承認申請書の期限はいつですか?
設立の日以後3か月を経過した日と、第1期の事業年度終了の日とのいずれか早い日の前日までです(2026年現在)。
1期目が短い会社は期限も早まるため、設立直後に提出するのが安全です。
Q. 青色申告にしないとどんな損がありますか?
赤字(欠損金)を10年間繰り越して将来の黒字と相殺できる特典などが使えません(2026年現在)。
設立初年度は赤字になりやすいため、青色申告は実質必須と考えてください。
Q. ひとり社長でも給与支払事務所等の開設届出書は必要ですか?
必要です。
従業員がいなくても、自分に役員報酬を支払うなら給与の支払いにあたるため、開設から1か月以内に提出します(2026年現在)。
Q. 源泉所得税の納期の特例とは何ですか?
給与の支給人員が常時10人未満の場合に、毎月の源泉所得税の納付を年2回(7月10日・1月20日)にまとめられる制度です(2026年現在)。
申請書は随時提出でき、原則として提出した月の翌月末までに通知がなければ承認とみなされます。
Q. 届出はe-Taxで提出できますか?控えはもらえますか?
主な税務署への届出はe-Taxで提出できます(2026年現在)。
控え(書面の受付印付き控えやe-Taxの受信通知等)は口座開設や融資で求められることがあるため、必ず保管してください。
Q. 期限を過ぎてしまった届出はどうすればよいですか?
あきらめずに、気づいた時点ですぐ提出してください。
青色申告のように適用開始時期に影響するものもあるため、影響の確認とリカバリー策は税務署または税理士に相談するのが確実です。
監修者
税理士 山﨑 健司(ヤマザキ税理士事務所)
春日部市、越谷市、さいたま市を中心に、会社設立・創業融資・節税対策をサポートする税理士事務所。中小企業・個人事業主の起業支援に豊富な経験を持つ。




